幻の二度の金メダル韓国代表としてバンクーバーオリンピックに参戦したクァク・ミンジョン選手。シニアにデビューしていなかったものの、昨年の国内の大会で優勝し、韓国の出場枠でオリンピックへの切符を手に入れました。 今年1月に16歳になったばかりで、やはり1月の四大陸選手権がシニアデビュー、そしてすぐにオリンピックと考えるとものすごく幸運ですね。 全面的な国のバックアップがあると言う点でも……。
クァク・ミンジョン選手について調べていて、トリノオリンピックの時の浅田真央選手の不運について思わずにいられませんでした。 同じく15歳で既にシニアの世界も名実共に世界女王となっていた浅田真央選手がISU(国際スケート連盟)の年齢制限規定にひっかかり出場がかないませんでした。 ちなみにキムヨナ選手も年齢制限で出られなかったと言っているメディア(日本のテレビでもそう紹介されました)がありますが、韓国には出場枠もなく、キムヨナ選手自身も自力で取れない状況だったと思います。 『フィギュアのオリンピックでの年齢制限』ですが、間違ってはいけないのはオリンピックの規定ではなく、フィギュアスケートの規定ということ。 ISUは1996年6月の総会で少年少女の精神的重圧や過度な練習による成長の妨げを防ぐという身体的理由を挙げ、五輪の出場資格を、五輪前年の7月1日前までに15歳であること」としました。 しかし、当時は「前年の世界ジュニアで3位以内に入れば出場できる特例」がありました。 この特例のため、1998年の長野五輪で15歳8カ月にしてタラ・リピンスキー(米国)は金メダルに輝きました。 既にシニアの世界まで制していた浅田真央選手はもっとも優先してオリンピックの出場権を得るべく選手でしたが、2000年にこの特例は廃止されています。 しかし、身体的理由……それは口実でしかありません。 身体的な理由ならば、GPシリーズや他の選手権は良くて、オリンピックのみが出場不可能な理由の説明にはなりません。 1994年リレハンメルのオクサナ・バイウル(ウクライナ)と、1998年長野のタラ・リピンスキー(米) 共に15歳でありながら、金メダルに輝き、その後すぐにプロに転向してしまったことが関係しているといわれます。 つまりISUは若くして頂点に立った選手が流出してしまうという事態を避けたかったのです。 実力者がどんどんプロに転向してしまい、アマチュアの大会に出なくなると、競技として盛り上がりに欠けますから。 そんな背景があっての不可解な年齢制限……しかし、最高の選手達が集まる舞台であるはずのオリンピックに、世界女王として数々の大会を制した浅田真央選手、もっとも話題をさらっているスターが出場しない……そんなジレンマがISUにもありました。 表向きの「身体的理由」の矛盾をつつかれ、特例で出すべきという声が強くなればISUとしても何らかの対応をせざるを得なかったのではないかと思います。 浅田真央選手がGPファイナルでも優勝した後、チンクアンタISU会長は 「現在、日本スケート連盟から何の陳情も来ていない。嘆願があった上で理事会が開かれ、理事会からの申し出で総会が開かれる」と説明。 日本スケート連盟からの働きかけがあれば、総会が開かれる可能性もあること示唆しました。 しかし日本スケート連盟城田憲子フィギュア強化部長は 「一人のために総会を開いてもらうのは現実的には無理。(ISU加盟団体の)立場から軽はずみに陳情など言えない。トリノのために4年間、強化した選手がいるし、世論が騒いだとしてもスタンスは変わらない」と日本側から動く可能性を否定。 日本オリンピック委員会は 「日本スケート連盟から要請があればIOCに打診してもいいが、要請がない」 国際オリンピック委員会 「年齢制限はスケート連盟の専権事項。IOC側から働きかけることはできない」 つまり、日本スケ連が何も言わない限り、何も出来ないと言っています。 当然、日本スケ連には抗議が殺到し、 「実は以前からISUに、特例を非公式に打診していたが断られていたので、公式に書簡を出さなかった……」と後付けで、言い訳めいた発表をしました。 それ以前の会見では『打診している事実』について触れていません。 「公式に要請をして断られた」なら仕方がありませんが、「要請すらしなかった」では話になりません。 というか、要請したら通ってしまう可能性があったので、要請しなかったのではないかと疑ってしまいます。 チンクアンタISU会長(イタリア)が浅田選手の特例についてあまり前向きでなかったのは、コストナー選手の存在があったからでしょう。 しかし、正式に日本が要請し、積極的に働きかけていたら、おそらく浅田真央選手の五輪出場は叶ったのではないかと思います。 浅田選手は『日本』という国に生まれた事が不幸だったかもしれません。 日本には日本スケ連が「親会社」とする日本オリンピック委員会(JOC)が、スポンサーから資金を集めるための「シンボルアスリート」に選ばれている選手がいました。(トリノオリンピック代表の3選手)
日本スケ連は 「浅田選手は次世代。4年後」と目論んでいたものが、予想をはるかに超えた成長と活躍ぶりで旋風を巻き起こしてしまったため、ちぐはぐな対応となってしまいました。 浅田選手のオリンピック出場が絶望となった時、 「浅田は今ならば金を取れるだろう。日本は4年後でも金を取れると思っているだろうが、その間に能力が落ち、他の選手が台頭してきて金を攫われ、銀くらいで終わるのではないか。そうなってから、あの時出しておけば、と悔しがっても遅い」とある外国人から指摘されました。 まさしくその通りになってしまったなあ……という感じです。
日本スケ連にとっては荒川選手の金メダル獲得で面目は保たれたでしょうが……浅田選手にとっては2度目の悲劇です。 幼い頃からの夢である『オリンピックで金メダル』を様々な事情で阻まれました。 (もちろん、実力で勝ち取った銀メダルと為しえた快挙はプラチナ級です!!) 3度目も……などとは考えたくもありませんが、フィギュア界がこのままではそういう可能性もあるかも。 そうならないように、しっかりとフィギュア界を見詰めて、浅田選手はもちろんのこと、他の選手達も演技以外の裏の事情で泣かされる事がないように応援していきたいです。
【追記】 この時に代表になった3人の選手、それから惜しくも選考にもれてしまった中野選手、そして、浅田選手……誰もが国を代表するに値する素晴らしい選手で、5人とも出してあげたかったと言う思いが強くあります。 しかし、実際は3枠しかなく、 実力から言えば誰が出てもおかしくないし、実力があっても出られないのも仕方がないというような厳しい状況でした。 この代表選考の時にスケ連やスポンサーなどの思惑が働いたということ、それからスケ連の対応や虚偽の発表などを指摘したもので、候補となった選手達を非難するものでは決してありません。 浅田選手に肩入れするあまり、他の選手達の汗や涙を蔑ろにしていると思われたなら、私にとってもとても不本意で悲しいことです。 それぞれの選手のファンの皆様、私の未熟な文章でご不快な点があったらどうぞお許し下さいm(_ _)m
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